美味しいものに出会ったらお前にも食べさせたい

私の母は主婦をやりながら定年まで忙しく働いていました。出張も多かったのですが、必ず私の父親にその土地のお土産を買ってくる人でした。

あまりお金に余裕がないので、自分の物は何一つ買わずにいつも父が好きな地酒を買ってくるのです。

忘年会

私が独身だった頃、やれ社内旅行だ忘年会だ新宴会だと集まりがあって何か美味しいものを口にすると、必ず頭に彼氏の顔が浮かびました。現在の夫の顔です。

これを食べさせたいと、脳が0.01秒の速さでそう私に思わせるのです。ある時、まだ独身の女友達の家に遊びに行くと、そこに突然女友達の彼氏が来ました。

手にはビニール袋が一つあって、聞くところによると、旅先で食べた調味料がとっても美味しくて買ってきたんだそうです。それを渡すと、彼氏はすぐに帰って行きました。その姿を見て、私はとても安心しました。

ああ、私の女友達は愛されているなって。好きな人の気持ちが嬉しいですよね。

私の母は、父がこの世を旅立つまで心底父を愛し続けていました。今でも仏壇には父の好きだったお酒が供えられています。